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パンケーキの夢を追い続けるパンケーキママと、voivoiファミリーの記録


by pancakemama2
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私のカフェができるまで Vol.16

〇常識外れ?

voivoiは、8月5日で2周年を迎えました。
ここまでの道のりは、短いような長いような、でもやっぱり「まだ2年!」という感じでしょうか。
私のカフェができるまで Vol.16_c0159301_1313715.jpg
この間、定休日が変わること1回、営業時間が変わること3回。スタッフも、初期のスタッフは、もう誰もいません。そして、メインのパンケーキの配合も、営業しながら、さらに改良を加え、2回ほど変わっています。実にめまぐるしい毎日・・。

それでも、おかげさまで、お客さんの数は、前年比2割増くらいで、伸びているでしょうか。「パンケーキ」イコール「voivoi」と認知してもらえるようになったと自負しています。

それも「焼きたて」に徹底してこだわったことが、功を奏した気がします。今回は、ちょっと「こだわり」のお話を。
voivoiがオープンする前、店の物件は、スケルトンでした。これが大きく予算を狂わすことになったのですが、好みの内装に設計できる、という魅力がありました。

私がこだわったのは、「店の入口にグリドル(パンケーキの焼き台)を置くこと」。それまで、パンケーキやホットケーキの店を多く食べ歩いていましたが、焼いているところが見られる店は、あまりなかったのです。

でも、専門家の先生たちは、物件を見るやいなや、「この間取りなら、入口に客席をとって、キッチンは一番奥がいいね」と言います。

たしかに、排気口やガスなどの位置を見ても、キッチンは奥が正解。入口に客席が見えた方が、お客様も入りやすいのです。

でもでも、ど~しても、私は、入口にグリドルを置きたかった。
だって、パンケーキ専門店、それも「焼きたて」を謳うなら、絶対焼いているところを見せなきゃ!

頑固に主張した結果、工事費が嵩んで、内装費はさらに膨れ上がることに・・。
私のカフェができるまで Vol.16_c0159301_132429.jpg
そして、肝心のグリドル。よく飲食店関係者と思われる方から、「このグリドルはどこのですか?」と聞かれますが、はい、実はアメリカ製です。

米国で、実際にパンケーキやハンバーガーのチェーンが使っているという本格的なもの。熱源は電気ですが、中に水蒸気が回っていて鉄板を温める仕組みなので、鉄板の温度はどこも均一、焼きムラが全くないという優れものです。

オープン前に、輸入代理店のテストキッチンで、試しに焼かせていただきましたが、その焼き上がりの美しさに、ともかく感動! もう私の頭には、実際の店で、お客様の目の前で、可憐な手さばきでパンケーキを焼く自分の姿が浮かんでいました。

「はい、これ買います!」と即決。しかし、そのお値段も半端ではなかった。「ひゃくすうじゅう万円」と、国産のグリドルの2倍から3倍です。
またしても、経費はさらに、膨れ上がることに・・。

全く、たかだか20席たらずの小さなカフェに、いったいいくらかけるつもりなんでしょう。この初心者、尋常じゃありません。

ただ、この投資は正解でした。店に入ってくるお客さんは、実際にパンケーキが焼かれている様子を目の当たりにして、みな歓声を上げます。子供たちは喜んで、ガラス越しにへばりつきます。

私も、高性能なグリドルのおかげで、次々入ってくるオーダーを、ほとんど失敗なくこなせます。
でも、たまに、ひっくり返すときにへまをして、お客さんにそれを目撃される、という格好悪い場面もありますが(笑)。

〇「ランチありません!」

私のカフェができるまで Vol.16_c0159301_135226.jpgかくして、「焼きたて」を印象づけることに成功しましたが、そのこだわりゆえ、捨てたものがあります。それは「ランチ」です。

はい、うちには、ランチタイム、ランチメニューというものがありません。
ランチというのは、できるだけ短い時間で提供し、かつ回転率もよくなければ、利益を上げられません。

でも、どんなに高性能のグリドルでも、一度に焼けるのは4人分。注文が入ってから、粉を混ぜて、焼いて、なんてことをやっていると、提供まで10分くらいはかかるのです。

仮に、パンケーキを焼き置きしておけば、時間は大幅に短縮できるでしょう。けれど、またしても頑固な私は、絶対それはしたくない。

「専門店なんだから、ランチがなくてもいいじゃない」という勝手な理由で、ランチはやらないことに決めました。オールタイム、同じメニュー、価格です。

お客様から見れば、お得感のあるランチがないのですから、お昼を食べようとすると「なんだか高いわね」になります。実際に、三軒茶屋のカフェや飲食店のランチ価格は、だいたい800~1000円。それが、うちではドリンクセットで1300円。実に強気です。

当然のごとく、地元のサラリーマンやOLさんたちのランチ需要は、見込めません。それでも、「この店は、こういうもの」と思っていただけるようになったのか、いまではお昼時でも、たくさんのお客様が来店するようになりました。OLさんたちも、お給料日の後に、「ちょっと自分にご褒美」と来てくれます。

こう書くと、すべて結果オーライなんですが、周りから見れば、常識外れのところがたくさんあって、はらはらしたことでしょう。でも、自分のこだわりには頑固に徹する、ということが、最終的にお客さんにも伝わったのだと思います。

ちょっとでも焼き損じたり、オーダーミスでロスがでてしまったパンケーキ、焼き上がってから3分以上たったパンケーキは、即、裏のパントリーに直行。voivoiファミリーたちのおやつになります。

おかげで、うちのまかないは、「パンケーキ食べ放題!」。最近は、これに味をしめて、「今日はパンケーキないの?」と催促されることも・・。
まぁ、飽きずに食べてくれるのですから、私も幸せです(笑)。
(つづく)
※この記事は、「カフェ&レストラン 10月号」(2008年)に掲載させていただいたものです。
by pancakemama2 | 2008-09-03 12:52 | voivoiができるまで(連載)